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第8試合 ブラックベリー vs リトル・ボンバーズ(2/2)


「ここで両チームともパートナーをスイッチ、リング上はティアさんvsグリレさんという構図へと移ります! …しかしグリレさんの特攻でまだちょっともつれたまま、仕切り直しとはいかず二人寝転がりながらの取っ組み合いに!」

「ウガアッ!! ガッ! オオオオオッッ!!」

「とっ、何だよコイツ!? CAはこんな野生児まで飼ってるのか!?」

ティアもラン同様、ベースとなる格闘技はシステマだが、それにコンバットサンボを織り交ぜているスタイル。ゆえにグラウンドでの攻防はランよりも秀でており、狂ったように肘を撃ち付けてくるグリレに驚いた表情を浮かべながらも、その動きを見切って空振りした腕へアームロックを極める!

「GAAAAA!!」

「どうだ? 無理すると腕が折れ……のわあああ!!?」

完璧に極まったかと思われたアームロックだが、何とグリレは折れることも構わず強引に振りほどきにかかった! どちらかと言えば小柄なティアと体格はあまり変わらないというか、かなり痩せ気味なグリレなのだが一体どこにそんな力が秘められているのか。
部隊の訓練でこうなった相手は例外なくギブアップをしてきたため、この返し方はティアにとって想定外にも程があった。そして焦った結果思わずロックを緩めてしまうというミスを犯し、グリレは靭帯を痛めながらも外すことに成功! さらにその場で腰を回転させ、真後ろに位置していたティアの脇腹へ、渾身のゼロ距離エルボーを叩き込む!

「ご、ぐぶうっ……!! はっ、くふっ……」

文字通り鉄砲で撃たれたにも等しい衝撃が肝臓から逆側の肺にまで突き抜け、ティアの身体は一気にロープ際まで弾き飛ばされた。内股でガクガクと震えながら、反射的に口元を塞ぎ喉元まで到達した胃の内容物を何とか押し戻す。
だが、今の一撃で肋骨が数本いかれたのは明らか。そして当然、この程度で手を止めるグリレではない!

「その姿はさながらサーベルタイガー! 獲物を狙う二本の牙が、ティアさんに向かって突き立てられ……おーーっと! その攻撃を今度はランさんがカット! 要所要所でお互いがいいフォローを見せますブラックベリー!」

「げほっ、サンキュー、ラン!」

「ティア、あっちはセリーナが出てくる気配がない…今のうちに二人で仕留めるわ」

「…OK!」

先程ランの受けたダメージも決してすぐに回復するレベルではなく、もう一発もらえば危ないということは二人ともよく分かっていた。その上時間稼ぎなどには付き合ってくれそうもない相手、ならば一刻も早く戦闘不能に追い込むしか選択肢はない!

「フシューーーッッ! グワオオォッッ!!」

目を血走らせ、雄叫びを上げてトップロープから高々とジャンプ、またしても獣めいたダイビングエルボーで飛びかかってくるグリレに対し、ティアもランのおかげで落ち着きを取り戻したか。呼吸を整え、システマ特有の脱力した構えで迎え撃つ!

「そこっ!」

「グギャアアァァッッ!!?」

一対一であれば、グリレの出鱈目な戦法と凶暴性を前にメンタルを立て直すのは難しかったかもしれないが。後ろにランが控えているという安心感が、ティアのポテンシャルを最大限まで引き出していた。
リラックスした体勢から寸前で肘の軌道を見切ると、その勢いを利用し瞬く間に腕挫十字固へと切り返し、グリレはマットへ仰向けに抑えつけられる! 苦悶の声を上げつつ再び極められた腕を無理矢理引っこ抜こうとするものの、さすがに今度はそう易々と外せるわけもない。
そしてすかさず中腰になったランが無防備なグリレを見下ろし、軽くタメを作った後。眉間、人中、顎、喉笛、みぞおち…即ち正中線に沿った五つの急所へ、寸分違わず五連続で強烈な下段突きが撃ち下ろされる!

「~~~~~~ッッッ!!!」

「どうだっ?」

「…まだ終わってない! 持ちこたえて、ティア!」

並の人間、いや、熟練の闘士であってもこれだけの急所をピンポイントで撃ち抜かれては、悶絶ししばらくはまともに動くことすらできなくなるだろう。しかし恐るべきはグリレの闘争心、鼻と口から血を流しながらも、歯を食いしばりなおも立ち上がろうと抵抗を続ける!

「UGAAAAAAAAA----ッッ!!」

「なっっ!? 何でまだ、これだけの力が出せるんだよ?」

とはいえ実質二対一で囲まれている状況、パートナーのピンチであることには変わりない。さすがにそろそろカットしてくるかとランも相手コーナーに目を向けるが、意外なことにセリーナはポストにもたれたまま静観しているだけだった。

(…パートナーを見殺しにするつもり? それとも……)

ブラックベリーとは対照的に、リトル・ボンバーズは一見チームプレイが噛み合っていないようにも見えるがさにあらず。まだ何度かスパーをしただけではあったが、一旦スイッチの入ったグリレは敵味方認識せずに暴れまくるということはセリーナもよく理解していた。試合前に案じていた通り、今の彼女はタッチになどまず応じないだろう。
むしろ乱戦になれば自分も巻き添えを喰らうのは必至。ゆえに最初からセリーナは下手に手を出すより、粘ってもらっているうちに少しでも体力を回復させた方がよいという腹づもりだった。

「GARRRRR………ゴアアアアッッ!!!」

「往生際の悪いっ…今度はドジらないからな!」

バギイイイィィッッ!!!!

「ギャアアアァァム!!!」

ついでにどちらか道連れにしてくれれば、セリーナにとって理想的な展開ではあったが。いかに見かけによらない腕力を持つグリレでも、てこの原理を無視して力ずくで極められた腕を持ち上げることなど不可能。そんな真似ができるのは、ぶっちゃけユキーデくらいのものである。
その上ティアもさっきの失敗を反省し、どんなに暴れられても気を抜かずに関節を固定し続けていた。…大きすぎる負荷に骨が耐えられなくなるのも、当然といえば当然の結果と言えよう。
しかしそれでも戦意が衰えるどころか、一層狂乱モード全開となったグリレは無事な方の右腕だけで上半身を起こそうとする!

「GUッ、グガアアアァァァ!!!」

「ちょっ、正気か? 下手したら気を失ってもおかしくねーのに、余計プッツンするとかマジで野獣かよ!?」
「女としては信じがたいリアクションだが、闘士としてはなかなか見どころのある精神力だな。何も考えずに本能で動いているだけかもしれないが」
「もうほとんど檻に入れられたライオンとのコロッセオですわね…。ま、たまにはそういう試合も趣がありますけど」

折れたことで支点がずれ、左腕をぶらぶらさせながらも無理矢理ホールドから抜け出したグリレに、観衆からも驚嘆もしくは若干引いたような声が漏れる。
だが、直に組み合ってきたティアだけはもう、この相手を肉体的な痛みだけで止めることはできないと十分すぎるほど感じ取っていた。従ってグリレの反撃も予想の範囲内、不恰好なフォームで撃ちつけてくる苦し紛れの肘をかわすと、身体を入れ替えフロントストラングルホールドへと組み直す!

「グ、グガッ……!?」

「…ギブアップしてくれないなら、こうするしかないだろっ!」

縦四方固めの体勢から左腕をグリレの頭の下に潜り込ませ、右腕でその肘を掴む。そこから前腕部を喉元に押し当て気管を圧迫!
いわゆる裸絞めの一種、どんなに意志が強かろうと落としてしまえば関係はない。みるみるうちに頭部への酸素の供給が絶たれ、グリレの顔色が青紫へと変色していく。

「GA、アッ………」

当然限界まで悪あがきを続けるものの、左腕を折られたことに加え、ランによる五連突きのダメージもここへきて身体の内部を蝕み運動能力を奪っていた。半開きになった口からはだらだらと涎が流れ、いまだ瞳は闘志を失わないながらもその焦点が次第にぶれる。アドレナリン出まくりで痛みなど意に介さなかったグリレであっても、この状態でチョークを押し戻すだけの力はもう残されていなかった。

「…………グゲッ」

「ふうっ……」

「…もらったっ!!」

「!!」

舌を突き出し全身から力の抜けたグリレが完全に落ちたことを確認し、ティアは安堵の溜息をつく。その一瞬の隙をセリーナは狙っていた!
素早くロープを飛び越えると、ティアの斜め後ろから大きく側転してのアクロバティックな動きで一気に距離を詰める。そしてその勢いを急激に縦方向へ転換、一度身体を捻ると振り向きざまにバク宙しながら、足の甲を後頭部へ振り下ろす! 要は地上に向けての逆サマーソルト、カポエイラではフォーリャと呼ばれる大技のひとつである!

グリレを仕留めることに集中するあまり、完璧にセリーナの動きは意識の外にあったティアは直撃を覚悟し、ぎゅっと瞼を閉じた。…だが!

「ぐぶううぅぅッッ!!?」

直後に鼓膜を震わせたのは頭蓋骨への衝撃ではなく、くぐもったセリーナの悲鳴! ツープラトンの後セリーナの思惑を見透かしていたランは、グリレとティアの攻防を注視するフリをしながら、常にインタラプトに入れる位置を維持していたのだった。

「そ、そんな……うっ、ぐ! 誘われ、た……?」

ランが放ったのはシンプルに真下から突き上げるだけのショートアッパーだったが、それは全力を込めたフォーリャの運動エネルギーをすべて反対方向へ打ち返す形で、セリーナのお腹へと突き刺さっていた。これ以上ないタイミングでまともに迎撃されたセリーナは、ランが拳を引き抜くと同時にうつ伏せでマットに落下。潰された蛙のようなガニ股のみっともない姿勢で、びくんびくんと痙攣しながら広がる吐瀉物に顔をうずめていく。

「ご…ごぼっ………。ぶええっ………」

なおもランは気を緩めず、這いつくばるセリーナの姿を冷静に見下ろしていたが…言わばストレートの速球が、バットの芯でダイレクトに捉えられたかのようなカウンター。多少休んでダメージを回復させていようと、オーバーキルには十分過ぎる威力だった。
次第に痙攣は弱々しくなり、青いレオタードの股間部分も紺色に染まって、下半身からも彼女の敗北を証明する液体が流れ出していく。そして突っ伏した頭部がガクリと一段沈んだことで、ようやくランはティアの方へと向き直った。

「おおー……すっげえー、さすがラン! 愛してるぜー!」

「ちょっ、何言ってるの…? あなたもブラックベリーの一員なら、このくらいは視野に入れて…」

嬉しそうに抱きつき右手を握って高々と掲げ上げるティアに、戸惑いながらランも照れくさそうな表情を見せる。冴え渡るシステマの技術と鮮やかなチームワークで勝利を掴んだブラックベリーだが、ここだけ切り取るとまったくもって年相応の少女のじゃれ合いと変わらない。
しかし浮かれるのも束の間。すぐにランは最も大事なことを思い出し、緊張感に満ちた表情で実況席へ問いかける。

「…これで、試合は終わりってことでいいのかしら?」

「ええ、お疲れ様でしたー☆ あとは控え室でシャワー浴びるなり、自室に戻るなり。ご自由になさって結構ですよー」

その言葉を裏付けるようにガラスの電子ロックは解除され、観客からは見事にリトル・ボンバーズをリョナったことへの賞賛の声(と次の試合でリョナられるのを期待する声)が降り注ぐ。
もちろんまだ褐色のお尻をひくひくと震わせるセリーナと、大の字になってアヘ顔を晒すグリレには容赦のない罵声と嘲笑が。

「少なくともしばらくは、他のチームと同様に扱ってくれるみたいね…。まだ油断するわけにはいかないけど…」

「いーじゃん、だったら優勝しちまえば、ここから脱出できるかもしれないぜー!」

「さすがにそれは…でも、どの道今は勝ち続けるしかないわね。次も、頑張りましょう」

自分達の立場からしてランの疑念が晴れないのはもっともだが。気にした様子もなく揚々と肩を組んで引き上げようとするティアに苦笑し、ひとまずは窮地を乗り越えたことを喜び合うブラックベリー。かくして若干15歳、死の淵から生還した特殊部隊の少女二人の、新たなる闘いは幕を開けたのだった。



18分58秒
Winner ブラックベリー 1勝0敗 
Loser リトル・ボンバーズ 0勝1敗 

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トーナメント表1-2

トーナメント表2-2

上位トーナメント1回戦 対戦カード

☆第1試合 
甲斐姉妹vs
カワイイ幸子と愉快な仲間

☆第2試合
ブラックベリーvs
みこみこウォリアーズ

☆第3試合
春夏繚乱vs
ギガントヴィエーディマ

☆第4試合
ツヴァイシュメッタリンvs
The Childish

下位トーナメント1回戦 対戦カード

☆第1試合
ランページ・ヴィーナスvs
蒼黒の第五元素

☆第2試合
忍拳潮流vs退魔コンビ

☆第3試合
ちっぱいメイドズvs
ビッグ・ボンバーズ

☆第4試合
ダブルエックスvs
ギガントヴィエーディマ

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