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・エキシビジョンマッチ  ミリアム・梨沙・シンクレア vs 高邑巴子

ミリアムs2   巴子さんs
ミリアム・梨沙・シンクレア
身長173cm 体重63kg 3サイズ B93 W56 H86 年齢:23歳
試合コス:薄いラセットブラウンの試合用レオタード

高邑 巴子
身長181cm 体重72kg 3サイズ B82 W56 H83 年齢:17歳
試合コス:白地の上着に赤い袴の巫女服。袴の形状はスカート型



―――3期終了後、タッグの始まる少し前―――

「ヒャッハァ―――!! マジでミリアム・梨紗・シンクレアだぜオイィ!」
「アメリカのリングで見なくなったと思ったら、何やらかしたんだ一体――!」
「何でもいいさ! 表のクリーンな試合ですら何度も抜いてたんだ俺は!
まさかそれ以上のオカズが手に入るなんて、夢のようだぜ!!」

今まで自分のいたリングとは全く異なる、耳を覆わんばかりの野次の数々に、ミリアムは思わず眉をひそめる。

プロモーターとのトラブルの末、罠にかけられこの地下へと連れ込まれたミリアム。今日はそのお披露目となるデビュー戦であり、もともと表のプロレス界でも知名度のある彼女だけあって、ゴング前から会場は本戦と遜色ない熱気に包まれていた。

と言うかそもそも知らない人間であっても、腰まで伸びた金髪に澄んだブルーの瞳、そして何よりグラビアモデル顔負けの93・56・86という、はちきれんばかりの肉感的なボディ。
そんな美女がこれからルール無用のデスマッチに挑もうというのである。男達はもちろんそっちの趣味のおばさま達も、興奮するなというのは無理な話であろう。

彼女も客層の違いは分かっていたつもりだったが…慣れない毒気をまともに浴びて、不愉快さを隠せるような性格でもない。

「本当に悪趣味な場所ね…。こんなところ一刻も早く抜け出して、あのプロモーターの鼻を明かしてやるんだから」

この試合は公式戦ではないとはいえ、勝ちを積み重ねればそれだけ立場も強くなり、脱出のチャンスも広がるということは聞かされていた。
そしてもちろん鼻を明かす以上に、ミリアムにとって親友の雫と同じリングに立つことは、長い間の悲願。急に連絡が取れなくなったことで心配をかけているのは間違いなく、一刻も早く彼女を安心させるためにも、最初から躓くわけにはいかなかった。

だが……入念にストレッチを繰り返すミリアムの対角線上。対戦相手の高邑巴子は軽く身体をほぐしただけで、あとはコーナーに寄りかかり目を瞑る…フリをして、ミリアムの一挙手一投足をじっくりと観察しているのみ。
なるべく気にしないようにはしながらも、そんな相手にやりにくさを感じるのも仕方のないことだった。

(古武術ね…シズクならもう少し詳しいのかもしれないけど。あたしに馴染みのないスタイルをいきなり当ててきたのも、勝たせる気なんかないってこと?)

ミリアムの同門にも柔道や総合などの経験者はおり、後学のためにその技術を見せてもらうことはあった。また、彼女自身も何度か異種格闘技戦は行っていたが、それはあくまで表のリングでの興行。ここまで未知の相手と闘うのは、初めてと言っていい。

加えてミリアムも女子としては長身の部類に属するものの、巴子はそれをさらに上回る181cm。めったに経験のない見下ろされているという威圧感もまた、内心の不安に拍車をかけていた。

(…っ、うだうだ考えたって始まんないか! こうなったら出たとこ勝負、あたしの力を信じるっきゃない!)

しかしそのもやもやした気持ちを振り払うように、ミリアムは最後に大きく屈伸し、平手で頬を叩いて気合を入れる!
こういういい意味で開き直れるところがミリアムの長所であり、アメリカでも好成績を残してきた所以であった。

「いくよッッ!!」

カ――――――――ン!!!

右腕をグルグル回すと同時にゴングが鳴り、キッと巴子を見据えて前傾姿勢で突撃するミリアム!
まずは最も信頼を寄せる技、アックスボンバーをブチ当て主導権を握る…デビュー戦らしからぬ速攻に、巴子も一瞬、反応が遅れたかに見えた。が、次の瞬間!

「ぢゃッッ!!」

「!!?」

謎の発声と共に巴子の姿が消え、視界一杯に広がる眩しい照明。そして右腕には、重石が絡みつくような違和感!

「飛びつき腕十字と同時に膝で顎を跳ね上げ、そのまま肩へと乗りかかりました巴子さん! 両脚でミリアムさんの頭を挟む、この体勢は――――!!!」

バリイイイィィィンッッ―――――!!!!

…何が起きたのか、ミリアムには理解する暇さえなかった。右腕を捻り上げられたまま巴子の全体重が後頭部へのしかかり、なす術もなく顔面からマットへと激突。
ガラスが粉々に砕け散ったような音が会場内に響き、身体を貫く激痛がようやく神経を伝わり襲ってくる!

「い゛ッ………~~~~~~~~~ッッッ!!!!」

大粒の涙を零し、限界まで口を開いて絶叫を上げようとしたミリアムだったが。痛みのあまりその声は途中でかすれ、マイクに拾われたのは空気を吐き出す音のみだった。

「巴子さん、ルーキーが相手でも一切の容赦なし!! 久しぶりに見せました、古武術が奥義―――!!」

「虎王、完了。…っと」

興奮する実況と周囲の歓声、ボソッと呟いた巴子の声も、もはやミリアムの耳には入ってこない。技は解かれたがいまだ右腕をおかしな方向に突き上げ、マットへ突っ伏したままミリアムは土下座するような姿勢でピクピクと身体を震わせ続ける。

「ぁ゛…………ぁ゛…………」

「…悪いね。やれる時にやっちゃうのが、ここの鉄則。生き延びたいなら、心しておくといい……よっ!!」

もはや闘える状態ではないことは明らかだったが、アドバイスを送りつつもなお気を抜かないところは巴子らしいというか何と言うか。まだ意識があるのを見て取ると、その足袋に包まれた脚を高々と上げ…今度は72kgの体重をカカト一点に集中、ミリアムの肩甲骨を一直線に踏み砕く!

バキイイイイィィィッッッ!!!!

「ぎぃ゛え゛えぇぇぇ~~~~~~ッッッッ!!!!」

…あるいはギブアップを宣言していれば、巴子も止めてくれたかもしれないが。まったく思考の追いついていないミリアムには、そんな発想すら浮かびようもなかったか。

かくして骨の叩き割られる嫌な音がまたしても空気を震わせ、今度はミリアムの悲鳴も最後まで観客の耳に届けられる!
喉の奥から絞り出すようなくぐもった声は、彼女の美貌からは想像もできないものであり…そのギャップもまた、敗者としての情けなさに拍車をかけていた。

「ぇ゛っ……………」

いかに日頃から鍛えているレスラーといえど、右肩を中心に駆け巡った、今まで経験したこともない衝撃。巴子のストンピングはミリアムの身体のみならず、意識をも完膚なきまでに粉砕してしまっていた。
根元を破壊されたことで、重力に従って右腕は人形のようにぱたりと落ち…お尻を突きあげたミリアムの姿勢も徐々に膝が開いて、ガニ股でマットに這いずるような格好となる。

それは誰の目にも、潰れたカエルとしか形容しようがない無様極まる姿だった。レオタードの股間部分が赤からえんじ色に染まり、その下のマットへも水たまりが広がっていったことで、巴子は大きく息を吐いてようやく背中から足をどける。

…そして一瞬の静寂の後、大歓声に包まれるCA特設ホール!

「瞬殺―――!! あっという間の惨劇、恐るべし虎王!!
KOタイムは22秒! 最短試合更新とはなりませんでしたが、改めて古武術の恐ろしさを見せつけ、巴子さん完勝です!!」

「ビール飲む間もなく終わっちまったか――!! 実力差ありすぎたのかもしれんけど、もうちょっと楽しませてほしかったぜ巴子ォ――!!」
「ヒャアッハッハ――ッ!! これよこれ、期待以上の負けっぷりだったぜミリアム! 所詮プロレスで実績あっても、井の中の蛙だったってことがよく分かったかな――?」
「まあ情報がなかったとはいえ、隙あらば折ってくる巴子相手に不用意ではあったけど。巴子も初手からあんな技を使ってくるとはなー」
「場慣れしている巴子ならではの判断じゃったの。ミリアムめもここがどういう世界か思い知ったじゃろうが…くっくっくっ。あの力量で、果たしてこれから渡り合っていけるかの…?」
「ほほ…渡り合えなくっても一向に構いませんわよ。毎回あんな姿を見せてくれるんでしたら…ねぇ?」
「ふうふう……うっ! うへへ…今までのどの試合よりも、たくさん出たよ…!」

早々に巴子が退出し、続いて担架で運ばれようとしている間も、泡を噴いて失神したままの金髪美女を揶揄する声はやまず。
初戦からあまりにも酷な洗礼を浴びせられたミリアムだったが、それもこの地下では日常茶飯事。彼女の地獄は、まだ始まったばかりなのである。



その後もシングルで散々打ちのめされる日々が続いた後、彼女を追ってきた雫と再会。2人でここからの脱出を目指し、タッグへと出場することになるのだが…その話はまた、本戦にて。


22秒
winner 高邑巴子
loser ミリアム・梨沙・シンクレア
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下位転落チーム決定


「さー、長いことお待たせしてすみませんでした!
これにて上位1回戦はすべて終了! 告知してました通り、敗れた4チームのうちひとつは、下位トーナメントに回っていただくことになります!」

いまだコーナーの一角に張り付けられたままのあげはとファラーシャの周りで、撮影会は続けられていたが。
ひとしきり喧騒も落ち着いたところでローズさんのアナウンスが流れ、次なる話題に観客もにわかに色めき立つ。

「おおそうだ、あげはタソのおっぱいで抜きすぎてて、すっかり忘れてたよ! つまりはまたこの2人の試合を見れるってこと!?」
「待て待て。1回戦で負けたのは、幸子、ブラックベリー、ギガント、シュメッタリンの4チーム。
抽選会の説明では、一番へちょい試合をしたチームが落ちるって話だったが…?」
「へちょい……うーむ。幸子は相手が相手だっただけに、最後は情けない姿を晒してしまったが。試合自体はどっちが勝ってもおかしくない内容だったからな…」
「月子に大逆転を食らったブラックベリーも、言い換えればそこまで追いつめてはいたわけだし。…あれ? もしかして一番いいところなかったのって、ギガントヴィエーディマ?」
「あ゛ー……あげはも及ばなかったとはいえ、真理亜相手に意地は見せてたからな。うん、ギガントはチェーニのセクハラくらいしか見どころがなかったっつーか」
「それもすぐ切り返されて墓穴を掘りおったし、ピアーチはピアーチで自爆祭りじゃったからのう。これはやむを得んか…」

実際改めて1回戦の4試合を振り返ってみると、他3試合は負けたチームもそれなりに健闘してたのに対し、春夏vsギガントはほぼ一方的と言っていい内容。
へちょい試合という点に照らせば、最も有力なことに間違いはない。しかし顔を見合わせた観客達が、一様に複雑な表情を浮かべたのも無理からぬことだろう。

「下位チームを存分にリョナっていただけるなら、それはそれで面白いんじゃありませんこと?」
「しかし春夏相手にあのザマだったのを考えると、ちょっと不安が…。まあピアーチもでかすぎるだけで顔は悪くないし、調子に乗ってたあの2人が落ちてくのもアリっちゃアリか」
「でも絶頂からの転落って意味じゃ、幸子もここで終わるには惜しいんだよなあ…」
「ブラックベリーやシュメッタリンも、今回負けた後どうなるのか見てみたいしねー。てか、ここで選ばれなかったチームは、もう試合する機会はないんじゃろか運営さん?」

一斉にローズさんへと集まる視線。その疑問ももっともだと言わんばかりに、軽く咳払いして運営の代行者たる彼女は返答する。

「そうですねー。すみませんがトーナメントである以上、進むにつれチームが減ってくのは仕方のないことなので。
除外された3チームもですが、これから行う下位トーナメントで勝ち抜けたチームなども、基本的には以後本戦には参加できず待機という扱いになります。」

「むう…まあ、もとからそういうルールではあったしな。それに今回は時間かかるから試合数少なめってのは、前もって言われてたことではあるが」

「…ただし! それはあくまでトーナメント本戦の話!
各オーナーの働きかけや、その他諸々の事情で突発的に行われるエキシビジョンはその限りではありませんので、待機状態のチームにも出番が回ってくる可能性は十分にありますよー」

「ほほう! ということは……!」

いやらしく口元を吊り上げたおっさん共が、あげは達の方を振り返ったのもさもありなんと言うべきか。
そのあからさまな態度に苦笑いを浮かべつつも、隣に座っていたヴォイドさんが補足する。

「つってもそんなに期待しすぎんな。当たり前だが、優先して進めるのは本戦の方なんだからよ。
一応トーナメントから外れても、そういう形で試合を見られるチャンスはあるっつーことだ」

その説明にややざわついていた観客達も、納得したように頷き議論を再開する。…矢先にあっさり流れを無視して、アナウンスを続けるローズさん。

「はいはーい。ではすみませんが皆さん、一旦お席に戻っていただけますかー。
今日入場時に渡されたペンライトが、お手元にあるかと思います。実はこれ、幸子さんのライブを盛り上げるためだけのものじゃなくてですねー。
それぞれ落ちてほしいと思うチームに対応した色を掲げていただいて、ネット中継、審査員票も合わせた得票数によって、該当チームを決定したいと思います!」

「なるほど、つまりは大晦日のアレみたいなシステムか」
「いや待て、ってことは審査員票の比率がものすごく高いんじゃ…?」

「にへへー。まあ不安もごもっともですが、そこらへんは部外秘ってことで。
じゃあ照明を落としますよー。日本野鳥を擬人化してリョナる会の皆さん、集計よろしくお願いしますー」




………………………




「発表します! 非常に僅差の勝負となりましたが、最も多くの票を集めたのは………」

高揚感を煽るドラムロールが流れ、焦らしに焦らした末電光掲示板にでかでかと表示されるチーム名! その瞬間、悲喜こもごも入り混じった多くの声が、会場内のいたるところで木霊する!

「ギガントヴィエーディマ―――!!!」

「うわーやっぱりか―――!!」
「妥当っちゃ妥当だけど、他の3チームはエキシビジョンに期待かぁー」
「でもダブルエックスとの試合は、楽しみじゃありませんこと? あの馬鹿力でレプリロイドちゃんが壊される様を想像すると…うふふっ」
「そううまくいくかは分からんが、しかし優勝候補と思ってたギガントがなあ…。つくづく一寸先は闇よ、地下ってところは」

カクテルライトが交錯する中、やや自分達から興味が逸れてくれたあげはとファラーシャはもちろんだが。いまだ治療中の幸子とココロ、自室で中継を見ていたブラックベリーの2人も、内心ほっと胸を撫で下ろすのだった。
…もちろん、下位落ちによる処分の可能性がなくなっただけで、この先彼女達がどうなるのかは誰にも分からないのだが。

「それでは、下位1回戦のカードもすべて決まりましたところで、本日の日程はすべて終了となります!
引き続き明日より行われます下位トーナメントも、どうかご期待ください! 実況は私ローズ、解説はヴォイドさんでお送りしましたー!」



なおスタッフが撤収した後も、真理亜さんの望み通りシュメッタリンの2人は一晩に渡って放置されたままなわけで。
ほとんどの観客は存分に撮影し満足して帰ったものの、一部の熱烈なファンは泊まり込みを決行。
外気に晒され冷えた身体が、それだけの長い時間尿意に耐えられるはずもなく…JSおもらしショーを酒の肴にして盛り上がりながら、CAの長い夜は更けていくのだった。

第4試合 ツヴァイシュメッタリン vs The Childish(1/5)

あげファラ   真理亜s春日s

ツヴァイシュメッタリン  オーナー:asa氏
ファラーシャ・アル=ウルジュワーン
身長152cm 体重41kg 3サイズ B73(Bカップ)W47 H76 年齢:12歳
試合コス:アラビアンダンサーめいた衣装。露出度はかなり高い。
藍翅あげは
身長142cm 体重41kg 3サイズ B82(Fカップ)W52 H78 年齢:11歳
試合コス:ファラーシャとお揃いのきわどい衣装。青ビキニ状の上下に、四肢はシースルーの生地。

The Childish  オーナー:ラブリー眼帯の男&azm氏
真理亜・K・コンドラチェンコ
身長172cm 体重62kg 3サイズ B88E W61 H89 年齢:26歳
試合コス:競泳水着。アレーナ社のARN-5041W。あとオープングローブとレガース
春日(はるひ)
身長157cm 体重42kg 3サイズ B75 W54 H80 年齢:17歳
試合コス:お腹の大きく開いた、白と青ベースの水着。真理亜と同様オープングローブも。



「ふふ…あれだけ可愛がってあげたのに、まだ躾が足りなかったのかしら仔猫ちゃん?」

「…………」

ゴング前、尊大な態度で挑発する真理亜と向かい合うあげはの表情は、いつになく険しかった。
3期では最終トーナメントの1回戦で顔を合わせた両者。その時は亡き母親を侮辱された上、お尻に指を突っ込まれるという思いもよらぬ裏技をきっかけに惨敗。忘れることなどできようはずもない。
もちろんあげはも雪辱を期すため、いつ再戦してもいいようあれから相当の鍛錬を積んではきた。しかし、自分の土俵であるサブミッションで、おそらくはまだ一枚も二枚も上をいく相手。さらにこういった挑発で心を揺さぶり、念入りに勝利の確率を引き上げる老獪さもまた、真理亜という闘士がモスクワで君臨していた所以である。

「ま、とりあえず深呼吸でもしなさいな」

ファラーシャに肩を叩かれ、少々思い詰めていたことに気付かされたあげはは、アドバイス通りに大きく息を吐く。
相変わらずビジネスライクにしか接してこないファラーシャではあるが、あげはの実力は彼女も認めるところ。十分なパフォーマンスを発揮してもらわねば困るとでも言いたげな表情で、ファラーシャは背を向けて言葉を続ける。

「分かってるわね。Childishにつけ入る隙があるとすれば…」

「…まだこの地下での経験が浅い、春日。作戦に異論はないわ…でも危なくなったら、今度はすぐに出るからね」



「さ―――始まりました上位1回戦最後の組み合わせ! そして関節マスター同士、因縁の再戦という屈指の好カードです!
しかし春日さんとファラーシャさん、両チームともまずはパートナーが先発。しばらくは様子を見つつ、交代のタイミングを窺う展開に…おおっと!?」

実況の予想とは裏腹に、開始早々仕掛けたのはファラーシャ! シュメッタリンの作戦とはつまり、速攻で春日を落とし、真理亜との二対一に持ち込むこと!
シンプルではあるが真理亜の力量、そして平然と肉壁扱いされる春日の役割を考えれば、決して間違った策ではない。わたわたして接近を止めようとする春日のジャブをパリングで弾き、背後へ回り込んだファラーシャは一気にスープレックスの体勢へと入る! しかし!

「とっっ!」

「くうっ…!?」

「間一髪、ブラックベリー戦の再現ならず! いきなりの大技は春日さんの頭にもありましたか、腰を捻って上手くクラッチを切りました!」

「狙いはよかったが、前にも見せたのは失敗だったな。それに浮き足立ちながらも反応できたあたり、何気にChildishも対策は立ててきていたか?」

なおも手を休めず攻めようとするファラーシャだったが、これで春日も落ち着きを取り戻し、しっかりとその動きについていく。実のところ特にこの対戦を想定していたわけではないのだが、もとより関節技のみならず、真理亜はグラップリング全般を得意とする闘士。そんな彼女に嫌というほど稽古(という名の三途の川)をつけられていては、組まれた時の対応が身体に染み込むのも当然といえよう。

(うふふ…才能の欠片もない凡人だったけど。少しは鍛えてあげた甲斐があったかしらね)

弟子の成長を喜ぶ師匠のように、思わず真理亜も目を細める。いや、この人がやってたのは、ぬくもりのないお師さんみたいな真似だけだったわけだが。
しかし警戒すべきは真理亜のみと考えていたファラーシャにとって、ここまで攻めあぐねるのは完全に想定外。焦って動きが雑になったところへ、今度は春日のジャブやローが当たりはじめる!

「何やってんだファラーシャー! ブラックベリー2人抜きはまぐれだったのかー!!」
「げっへっへ。春日ごときにもたついてるようじゃ、A.Sとやらも大したことはないんじゃねーのかあ?」
「春日もちまちまとこすい攻撃してんじゃねーよ! もっとガツンといけガツンと!」

観客の不満ももっともではあるが、基本に忠実な春日のスタイルは見た目以上に厄介だった。固いガードに細かい打撃、派手さこそないもののこうして腰を据えられると、ファラーシャでなくとも崩すのは難しいだろう。

(あまり真理亜に引き出しは見られたくなかったけど…出し惜しみして体力を削られるのも悪手ね。仕方ない!)

意を決したファラーシャはスープレックス狙いの攻勢から一転、正面から春日の股間に腕を差し込むと、即座に抱え上げマットへと投げ落とす!
素早いボディスラムに春日も意表を突かれた格好となったが、それでもしっかり受け身を取ってダメージを殺すのは、真理亜さんとのスパーの賜物か。すぐに体勢を立て直し反撃、ファラーシャの表情からもいつもの余裕は消えつつあった。

「意外と言っては失礼ですが、春日さんがここまで互角に渡り合うとは予想外でした! いやはや、格闘技始めてまだ数ヶ月なはずなのに、目覚ましい上達ぶりです!」

「ガードと受け身を徹底的に叩き込むのは、初歩中の初歩ではあるんだが。教える奴がアレなせいもあるのか、えらいレベルで身についてやがるな…あと多分、大振りの技をまったく覚えてないのも功を奏してる」

然り、これでKOを狙うなどの色気を出してくれれば、そこを突くこともできたのだが。お互い決め手を欠くこの状況、無駄に時間ばかりが経過しては、シュメッタリンの不利が増すばかり。
これでは目先を変えるために、あげはとの交代もやむなしか…と、ファラーシャが軽くリングサイドに目をやった時だった!

「わっっ!?」

「!?」

何と、つられてよそ見をしてしまった春日のシューズが滑り、片足を大きく上げてすっ転びそうになる!

「たっ、たっ…とっとっとっ……ふう」

両手をばたばたさせてバランスを保ち、何とか無様に尻餅をつくのだけは回避。当たり前だが、気が付けば真横にいるファラーシャ!

「あ」

ドオオォォン!!

「ウカツ! ウカツにも程がありました春日さん! この棚ボタなチャンスをファラーシャさんが見逃すはずがなく、あっという間に強烈なサイドスープレックス!」

ドヤ顔でふんぞり返っていた真理亜さんが、思わずこけそうになったのは言うまでもない。

「ちょっと褒めようかと思ったらこれよ…今回も終わったらお仕置きが必要ね」

まあ、こういったアクシデントで周りが見えなくなってしまうあたりは、やはりまだ初心者ということか。
しかし真理亜さんとしても、ここでメイン盾たる春日を失うのは下策。すぐさまリングに滑り込むや、再度ファラーシャに持ち上げられかけている春日を蹴り飛ばす!
別にこれはお仕置きとかではなく、トドメを阻止するための真理亜さんなりのカットだったりする。春日にとって、痛いことには変わりないが。

「そうそう、作戦通りにはいかないものね…。仕方ない、ここからが本番よ!」

第4試合 ツヴァイシュメッタリン vs The Childish(2/5)


ゴング前はあげはの手前、平気な素振りこそしていたが。やはり幾多の修羅場をくぐってきた真理亜…間近で感じるそのプレッシャーは尋常ではなく、ファラーシャも緊張感を増した表情で構え直す。
まずは呑まれないよう先手を取るべく、お馴染みのダンスめいたステップから懐へとステップイン。うまくフェイントも交え背後を取ると、最も信頼を寄せる技…ジャーマンスープレックスの体勢へと入る! しかし!

「えっ!?」

はっきり言って真理亜の動きは、春日とは次元が違うレベル。一瞬にして腰のクラッチを切るや、ファラーシャが反応する間もなく身体を反転、片足を捉えてテイクダウンを奪う!

「は、速いっ…!」

「あなたが遅すぎるのよ…あのへっぽこに付き合ってたせいかしらね?」

実際春日の動きに目が慣れすぎていたのも一因ではあるのだが。それを差し引いても初見で真理亜についていくのは、相応のキャリアを持つファラーシャですら不可能だった。
あえなくうつ伏せに組み伏せられた相手の背中へ乗りかかった真理亜は、抱えた左足を天井に向け捻り上げる!

「うぎいいぃぃッッ!!」

「無数の関節技を持つ真理亜さんですが、まずは小手調べか! 基本とも言えるハーフボストン!」

繋ぎ技とはいえ、瞬く間に足首と膝を極める鮮やかな手際! さらにファラーシャの口かららしからぬ悲鳴が漏れたことで、それまでのしょっぱい展開の反動もあり場内のテンションは一気に上がっていく!

「ファラーシャっ!!」

当然あげはも即座にリングイン、急いでカットへ向かおうとする! が、寝そべった体勢のまま足元に絡みつくのは、さっきちょうどその手前まで飛ばされていた春日!

「なっ…は、離してくださいっ!」

「ごめんなさい離したら真理亜さんに地獄のスパー追加されてしまいますそれだけは」

一応痩せ気味とはいえ、春日も女子としては平均的な体格。あげはの力では強引に引きずったり振りほどいたりなどできようはずもない。
つまり一旦しゃがむなりして足首を掴んでいる手をほどくしかないわけだが、そうしている間にも真理亜はサーフボード・ストレッチへと移行。観客の歓声と共に、徐々にファラーシャの悲鳴も大きくなる!

「あっ、ぐっ………! まさか、あのカットも狙って…?」

「今頃気付いたの? A.S秘蔵の闘士といえど、まだまだひよっこね」

「ぐううッッ……!」

「うおおさすがだ、やっぱ氷の女帝の異名は伊達じゃねーな真理亜! グラウンドに入ったが最後、あのファラーシャが手も足も出ねーでやんの!」
「磨き上げられたグラウンド技術に冷静な観察眼、そして技量の劣るパートナーも最大限利用する試合運び…つくづく総合力では頭一つ抜けておるの」
「ああ、フィジカルで上回る闘士なら何人かいるかもだが、つけ入る隙がある分そいつらの方がマシってレベルだからな。ロシアでの戦績も納得だわ」
「ほほ…いつも余裕綽々なファラーシャさんのあの表情。いいわいいわ、もっといじめてくださいな真理亜さん!」
「あげはも何やってんだ―――www もたもたしてると、大事なパートナーがばきばきにへし折られちまうぜ―――www」

「っっ!!」

何気ない観客の野次ではあったが、その一言はあげはのトラウマを刺激したか。彼女としては珍しく、春日を踏みつけるようにして乱暴に引き剥がすと、一直線にファラーシャの元へ!

しかし真理亜もファラーシャの反応に嗜虐の表情を浮かべつつも、その動きはしっかりと把握していた。
絶妙のタイミングでホールドを解き、突っ込んでくるあげはを悠々と迎え撃つ! まずは両者関節を手繰り合いながら、マット上で激しく体勢を入れ替えまくるポジショニング争い!

「さあ――ここで来ました! やはり避けては通れません、関節マスター同士の意地の張り合い!
前回の対戦と同様、いや、それ以上にハイレベルな駆け引きと技の応酬! 制するのは果たしてどちらか―――!?」

(前より動きは見えるようになってきたけど、やっぱり強い…! でも、私だって…!)

(ふっ…この短期間で、ここまで成長するとはね。ロシアでもここまで、寝技で私と渡り合えた闘士はいなかった。
……今度は手加減抜きで、潰しておかなくちゃ駄目かしら…!)

一見互角の攻防ではあったが、下半身、特にお尻に手が触れた際、あげはが即座に切ろうとするのを真理亜は見逃してはいなかった。前回はそれが敗因となったために、警戒するのは当然ではあるのだが…あげはの反応は少し分かりやすすぎたか。
すでに地下ではそれなりのキャリアを持つとはいえ、この辺りがまだ年齢相応の青さ。そして百戦錬磨の真理亜相手に、それは致命的な隙と言ってよかった。

「やっ…! えっ!?」

「かかったわね」

形のよいヒップラインを指でなぞるや、前の試合がフラッシュバックしたあげはは思い切り腰を引き、手のひらで菊門をガード!
絵に描いたようなフェイントではあったが、あげはが真理亜の狙いを察した時にはもう遅かった。

注意の逸れた上半身をフェイスロック気味に左腕で固め、さらに両脚であげはのふくらはぎも挟み込みながら反転! 即ちこの体勢は、裏STF!

「む゛っっ!! んぐう゛ぅ゛ぅ゛ッッ……!!」

真理亜の上に乗せられた格好になったあげはは、エビ反りになりながら必死でもがくものの、ただでさえ完璧に極まれば脱出不可能と言われているこのホールド。ましてかけ手は真理亜である…四肢はおろか首や腰すらろくに動かすこともできず、たわわに実った両胸の果実が零れ落ちそうに揺れるのみ。
その姿を囃し立てる声が、一斉に湧き上がったのは言うまでもない! そしてこのまま締め続けているだけでも、十分に真理亜の勝利は固かったかもしれないが…そこからさらに体勢を変化、観客もその意図に気付いた時、場内は割れんばかりの大歓声に包まれる!!

「フェイスロックに加え、逆の腕で肩口と肘も極め上げるハンマーロックも追加! 裏STFからチキンウイングフェイスロックに移行するこの体勢…これは!! 掟やぶりの、スワロウテイル・クラッチ返し――――!!!!」

「ゲエ――――!! 一度食らっただけで、あの複雑な技を完璧にものにしてるとは! あげはもかなりのレベルと思ったが、まだまだ格が違ったか…!?」
「ざまあないぜあげは! 所詮お前はそのだらしないおっぱいで、男を楽しませるのがお似合いよ!」
「ヒャアッハハハァ!! 今まで勝ち星を稼いできたお得意のフィニッシュホールドをかけられるってどんな気分? ねえどんな気分?」

「ぶぐぅっ! ばっ、お゛お゛お゛……」
(かっ、肩、外れっ……!! 息もっ……!)

観客の下衆な煽りが降り注ぐが、もはやあげはの耳にそれが届く余裕などない。全身をバラバラにされそうな激痛の中、何とかあげはは脱出口を探そうともがき続ける!
しかし、かつてこの技から逃れられたのは、真理亜とユキーデの2人のみ。いずれもあげはには不可能な外し方であり、それこそがスワロウテイル・クラッチという技の完成度を物語っていた。

なればこの試合はタッグ、後はパートナーのカットに望みをかけるしかない。もちろんファラーシャもそれは承知、すぐに真理亜へ組み付こうとはしていたが…その前に春日が立ちはだかり、しっかりとブロック!
春日も万全の状態ではないとはいえ、真理亜への横槍を食い止めるだけなら、さほど難しい技術は必要ない。加えてファラーシャは、さっきのサーフボードのダメージがかなり大きく、本来の動きとは程遠かった。

(つっ…背中側の肋骨にちょっと、ヒビを入れられたかしら…? でもここで、あげはを落とされるわけにはっ…!)

「許してください今の真理亜さんの邪魔したら、間違いなくお仕置きフルコースです通すわけにはいきません…!」

もとより試合序盤は、ファラーシャと互角に渡り合うだけの実力も見せている春日。完全に壁役に徹されてはファラーシャも突破する術を見出すことができず、刻一刻とあげはの限界が迫るのみ! そして!

ガゴンッッ!!

「ぶふうぅぅ~~ッッ!!!」

遂に耐え切れなくなった肩関節が嫌な音と共に外れ、口元を押さえつけている腕の隙間から、あげはは涎を噴き出して絶叫する!
その無様な姿に、一層サディステックな笑みを浮かべる真理亜。もはやシュメッタリンに、逆転の糸口は残されていないかに思われたが…!

第4試合 ツヴァイシュメッタリン vs The Childish(3/5)


気を失ってもおかしくない程のショックが全身を駆け巡りながらも、あげははまだ勝負を諦めてはいなかった。
肩が外れたことで開いたわずかな隙間…それに全てを賭け、力を振り絞って極められていた左腕を一気に引き抜く!

「なにィ!?」

真理亜もまさかここから外されるとは思わず、舌打ちをしながら体勢を戻そうとするが!
絶妙なバランスの上に成り立っているこの難技は、裏を返せばひとつの綻びから積木崩しのように瓦解するということ。後手に回った真理亜のリカバリーは追いつかず、動かない左腕の痛みをこらえながらも、今度はあげはが真理亜を畳んでいく!

「肉を斬らせて骨を断つ!! 腕一本を犠牲にして窮地を脱したあげはさん、身体を反転させポジショニングも入れ替わりました!
2人が直角に交差するような体勢から、上になった真理亜さんの首を左脚でロック! さらに右脚と左脚を絡ませ、右手首も掴んで逆方向へとねじ上げます! 
その姿はまさに獲物を捕らえた蜘蛛! グラウンド卍固め―――!!」

「ふふ…盲点だったわ。こんな無茶な返し方があったなんてね」

「ん゛っ…! 強がるのは、よして…っ、っ、ギブアップしてください! このままだと、あなたの肩も外れますよ!」

いまだ冷静な態度を崩さない真理亜ではあったが、あげはの言葉は事実であり、その額には脂汗が浮かんでいた。通常の卍固めより脱出困難な上、効果も高いと言われる某レスラーの得意技。身体の柔らかい真理亜といえど、いつまでも凌げるものではない!

「ままままま真理亜さん――――!?」

「おっと、やるじゃないあげは…私ももう少し、仕事しないとね」

そして即ち春日とファラーシャの立場も逆転! 慌てて振り返りカットに入ろうとする春日だったが、泥臭く腰に抱きついたファラーシャがなりふり構わずそれを食い止める!

「ふぁ―――!! 離してください離してください!」

「見苦しいわよ春日…感情を処理できん人類は、ゴミだと教えたはずだけど」

しかし、あと一押しで脱臼を免れない状況であるにも関わらず、春日を見上げながら真理亜は平然と言い放つ! その余裕の根拠は理解できなかったが、真理亜さんがそう言うなら春日のやるべきことはひとつ。
パートナーの力を信じ、目の前の相手に集中するのみ! 落ち着きを取り戻した春日はファラーシャを上から抱え込み、お互い容易には動けない体勢を形作る!

「ふっ、上々。藍翅あげは…ここまで頑張ったのは褒めてあげるけど、まだまだ詰めが甘いわね」

「なっ…あ゛ッッ! あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「おっと、あげはさんの様子が…? ああ――――! これは真理亜さんえげつない、あげはさんの外れた肩に体重を乗せ、押し潰しにかかってます!」

「えげつないとは心外ね…この世界は勝つことがすべて。あなたもそれは、何度も味わってきたでしょう?」

「ぐっ、う゛うッ……! あ゛あ゛あ゛ッッ……!!」

言うなればこれは、負荷をかけ続ける真理亜と先に締め落とそうとするあげはの我慢比べ! …しかし真理亜も分かっていて仕掛けたわけだが、この勝負はひと回り体格で勝る彼女の方が明らかに有利だった。
その上やはり左肩の状態は深刻。露出した上腕の付け根はりんごを生んだかのように大きな炎症を起こしており、外からでも骨と骨が繋がっていないのがはっきりと見て取れる。

この状態でなお、グラウンド卍を維持できるあげはの執念は驚くべきことだが…もはや意志の強さでどうにかなる範囲は、とっくに超えていた。

「さあ、もっといい声で鳴いて、私を楽しませなさい!!」

あげはの努力も虚しく、まともに力の入らない左腕を起点に真理亜はあっさりとホールドを解除。そしてあやとりの達人を思わせるような手際の良さで、みるみる体勢を切り返していく!

「やっ、やめっ……あぎゃあ゛あ゛あ゛ッッ~~~~!!!」

こうなってはもう、あげはには碌な抵抗すらできようはずもなかった。
またしても2人の位置は交代し、下になった真理亜に吊り上げられる格好となったあげはは、てこの原理でさらに両肩へと追い討ちをかけられる! リョナ界隈では定番中の定番と言っていいこの技、もはや説明は不要だろう!

「キタ━━━(゚∀゚)━━━!!! ここでロメロスペシャルを持ってきやがったか真理亜! はっはっは、股開きすぎてすじが見えそうだぞあげは――!!」
「王道だけどやっぱりいいねえ! かけられる姿が心を潤してくれる…ラウルロメロ氏の生み出したリョナの極みだよ」
「しかしあそこから冷静に怪我を突いて、この形に持ち込む真理亜もさすがだな。他の相手なら抜け出せずに終わってたはずだ」
「ほっほ、上下に揺さぶられるたび、はしたない乳房がぶるんぶるん震えおるわ。踊り子めいた衣装はその舞いを引き立たせるためのものじゃったか!」

「ほらほらあ、もう肩は死んだみたいだし…次は股関節でも、きつめにいじめてみようかしら?」

「ひいぃぃぃ~~~~ッッッ!!!」

もともと布面積の小さいコスはここまでの攻防でかなりずれてしまっており、上下ともあと少しでポロリしそうなきわどさ。そんな姿の巨乳JSが、エビ反りの姿勢で可動域の限界まで開脚させられ、首を振って泣き叫んでいるのである! 男達の視線が釘付けになるのも無理はない!

(くっ…真理亜・K・コンドラチェンコ。ここまでなんて…!)

その傍ら、ファラーシャはいまだ春日に抑え込まれたまま、身動きの取れない状態が続いていた。あげはの逆転を信じていた時まではよかったが、こうなってしまうと何とかこの状況を打開せねば、待っているのは1対2での虐殺ショーのみ!

「さすがです真理亜さん! このままなら私もお仕置きはチャラに…わっ!?」

そして自分の判断が間違っていなかったことで、安堵した春日がほっと息を漏らした瞬間をファラーシャは見逃さなかった! …別にそこまで気を抜いたわけではないのだが、ここ一番、勝負どころでの底力はやはりまだファラーシャの方が上だったか。
少し腰を引き首の後ろを腋でロックするや、そのまま背中の痛みをこらえて身体を起こし、春日を高々と逆さまに抱え上げる!
もとよりあれだけのスープレックスを持つファラーシャ。見た目とは裏腹に背筋の強さは、大人と比較してもまったく引けを取らないのである!

「わっ!? わっ!?」

「おっとぉ―――!! ここでファラーシャさんも、負けず劣らず大技の体勢に入りました!
反り返りながら後ろへ倒れると同時に、春日さんの脳天を垂直にマットへと突き刺します! まさに脳天砕きの名の通り! オリジナル式・ブレーンバスタ―――!!」

ズドオオォォンン!!!

「ぶぎゅっ…」

それほど身長は高くないファラーシャとはいえ、130cm近い高さからの衝撃をまともに頭部が受ければ、脳震盪は不可避。
咄嗟に受け身を取っていれば何とかなったかもしれないが…残念ながら春日の脳は、この突然の事態に追いつくだけの処理速度をまだ持ち合わせていなかった。

「はあっ、はあっ、はあっ……」

鈍い悲鳴を上げ轟沈した春日を横目に、ファラーシャは荒い息を吐きながら身体を起こそうとする。かなりの無理をしたものの、すぐにあげはを助けねばならない……だが、顔を上げた先に飛び込んできたのは、煽るようにパチパチと手を叩く真理亜の姿だった。

「お見事、お見事…。本当にここは、生きのいい若手が多いわね…」

「……ぁ……ぁぅ…、ひ……。ファラ………」

ファラーシャが動いた時点でこの展開を読んでいた真理亜は、いち早くフィニッシュに切り替え、あっという間にあげはの右肩と右大腿骨を砕いてしまっていたのである。
かくして翅をもがれたに等しい蝶は、残忍な子供めいた笑みをたたえる真理亜の足元で、マットに貼り付けられるように背中を踏み潰されていた。…まだ意識こそあるものの、もはや闘うことなどできようはずもない。

第4試合 ツヴァイシュメッタリン vs The Childish(4/5)


「さあ、もうお互い邪魔は入らないわ…存分に楽しみましょうか」

「く……っ」

息を呑んで真理亜と向かい合ったファラーシャは、挑発には乗らずゆっくりと円を描くように移動する。実力差は明白、その上背中の負傷も間違いなく見抜かれているだろう。
攻め込むタイミングを窺いつつ、あわよくば先に仕掛けさせたところを投げ返す…この状況、慎重にならざるを得ないのは当然の心理ではあったが。

「あらあ、来ないの? ダメよ、お客さんを退屈させちゃ!」

「っ!!」

その守りの思考に入った時点で、番狂わせを起こす可能性は摘み取られていたと言っていい! 真理亜もファラーシャの狙いなど百も承知、なおその上で、正面から一瞬にして距離を詰める矢のようなタックル!
逆にフェイントなどを警戒していた分、ファラーシャの反応はわずかではあるが遅れてしまった。…結果論ではあるが、ファラーシャには実力差を覆すだけのがむしゃらさが欠けていたのである。

「タックルに被せた投げは不発、またしても刹那のうちに組み敷かれてしまいましたファラーシャさん! こうなれば後はもう、サブミッションの女王の独壇場! 強い! 強すぎます真理亜さん―――!!」

「ハナから駆け引きで歯が立つわきゃないんだから、ダメ元で得意のスープレックスをぶっぱした方が目はあったか。まあ、さすがにこのレベルの相手とやり合った経験はなかったってことかね」

もちろん真理亜もここで容赦などするはずもなく、肋骨の損傷をさらに広げる技を選択。うつ伏せに寝かせたファラーシャの両脚と顎をロック、背中に両膝を乗せ、そのまま上下逆さまにひっくり返す! 弓矢固めとも呼ばれる複合関節技の定番、ボー・アンド・アロー・バックブリーカー!!

「うおおおお! さっきのロメロもだが、あの手この手で俺達を楽しませてくれやがるぜ真理亜は! つくづくエンターティナーとしても一流だな!」
「へいへーい! ビビッて手ェ出さねーからそんなことになるんだぜ! まあ出しても、結果は同じだったかもしれねーけどなwww」
「はっはっは、見ろよあのファラーシャの顔w 涙と鼻水でひでーことになってやがる!」
「いいねいいねー、普段澄ましてる分ギャップが際立つよ! A.Sとやらではいい成績だったらしいけど、所詮井の中の蛙だってよく分かったかなー?」

「いぎいいぃぃィィ~~~ッッ!!! ぎっ! はっ、はひっ……!!」

囃し立てる声の中、文字通り弓のように引き絞られるファラーシャの身体が急角度のカーブを描き、軋みを上げる! 逃れようのない圧力が背中にかけられ続けるこの体勢、ダメージを負っていた骨ばかりか、背骨の一部にまでも亀裂が入ってしまったか。
もはやファラーシャの表情に普段の余裕、ミステリアスな雰囲気などは微塵もなく、さながら拷問に耐えようとする哀れな一人の少女でしかなかった。

このままいけば、ファラーシャの肉体が限界を迎えるのも時間の問題。その瞬間を見届けようと、2人の一挙手一投足に観客の視線が集まる中…!

「はあっ、はあっ………、あ……?」

「…お? これはどうしましたか真理亜さん、フィニッシュの寸前でファラーシャさんを解放! 何かしらミスをしたようには見えませんでしたが…?」

「言ったでしょう、存分に楽しみましょうって。ほら、せっかくチャンスをあげたんだから、もう少し頑張ってみなさいな」

「なっ……!」

「はっはははっ! 真理亜の悪い癖が、ここで出やがったか! 可哀想になあファラーシャ!」
「ぎりぎりで落とさずにキャッチ&リリースを繰り返す、3期でも時折やってたアレやねw まったく、こういう性格だからパートナーなかなか決まらなかったってーのにw」
「どうせ今日はこの試合で最後だー! いくら時間かかってもいいから、じっくりねっとりといたぶってやれ―――!!」

言われるまでもなく、真理亜も最初からそのつもりだった。地下においては油断とも取れるこの行為ではあるが、骨の髄まで力の差とトラウマを刻み込むことで、万一再戦した時の勝率をも限りなくゼロに近づける真理亜の常套手段。またこれは、他の闘士にプレッシャーを与える、パフォーマンス的な意味も含んでいたりする。
…まあ相手の悲鳴や骨の折れる音が大好きという人なので、その辺の効果は本人としてはついでなのかもしれないが。

「うぐっ……! はっ、くうっ……!」

もちろんこんな舐めプに走るのも、逆転の目など完全に潰えたという確信あってのこと。事実ファラーシャはKOこそ免れさせてもらったものの、ボー・アンド・アローの影響でいびつに背中が曲がったままという状態。スープレックスはおろか、他の投げ技すらまともに打てようはずもなかった。

あまりに絶望的な状況に、ギブアップという選択肢も頭をよぎったが…それは間違いなく、A.Sの立場を地に貶めるレベルの失態。それ以前に真理亜がそんな申し出を受け入れるはずもなく、結局のところファラーシャは、棒立ちのままなす術なくサンドバッグにされるしかないのだった。

「あははははッ! どうしたの? わざわざ立ち技で付き合ってあげてるのに、手を出さないと勝負にならないわよ!!」

「あ゛っ! うぎっ! ごっ……!」

「これは珍しい真理亜さん、不得手なはずの打撃技でファラーシャさんを滅多打ち! もう練習というか、トレーニングモードの様相を呈してきました!
そして歪んだ体軸を矯正するかのように、お腹へと食い込む強烈なミドルキック―――!!」

「ぐぼおおおぉぉッッ………!!!」

身体をくの字に曲げてロープへともたれかかったファラーシャは、一拍後に反動をつけて頭からマットに投げ出される! 土下座するような姿勢でお尻を突きあげ、お腹を押さえて胃の内容物をせき止めようとするも…。

「う゛え゛え゛え゛え゛ッッッ!!! ばっ!! ぶぐお゛お゛お゛お゛!!!」

ただでさえ身体を内側からボロボロにされているところへこの衝撃。腹筋も食道の筋肉もまるで言うことを聞かず、女の子とは思えない濁ったえずき声と共に、腰を振りながらファラーシャはマットを汚い黄褐色へと染めていく。

(もう、私の負けでいいからっ………。お願い、早く………終わって………!)

勝ち誇る真理亜に頭を踏みつけられ、自らの吐瀉物を髪に絡ませながら、遂にファラーシャの心は折れた。…その思いが通じたのか、おもむろに真理亜は足をどけ、少し距離を取るような気配を見せる。
顔をうずめ突っ伏したままのファラーシャには、目の前で何が起きているのかは分からない。だが、これでようやく地獄のような時間から解放されるのかと、胸を撫で下ろした矢先…。

「はっ、はあっ……う゛ッッ!! や、やらせません………私が、相手ですっ……!」

「ふふ…そうまでしてパートナーを助けたいの? まるで芋虫じゃない…」

まあそもそもそんな慈悲の心など、真理亜が持ち合わせているはずもなかった。別に今のはファラーシャを見逃したわけではなく、這いずりながら真理亜の足首に噛みついたあげはの存在に気付いただけのこと。
あげはも狸寝入りでもしていれば、これ以上は何事もなくやり過ごせたかもしれないが…もとよりパートナーを見捨てるなど、できる性格ではなかったか。

「いいわ、片方だけ相手にするのも、不公平だしね…2人とも同じように、可愛がってあげるわ!」



かくしてあげはとファラーシャ、2人の地獄はここからが本番だった。大事な部分を隠すわずかな布はあえなく剥ぎ取られ、対照的な2組の膨らみとまだ未成熟な割れ目を観客に見せつけるように、真理亜は持ち技のレパートリーを次々と披露していく。
リバース・ゴリー・スペシャル、アトミックドロップ、キン肉バスター…の原型である、ジャンプせずにあの体勢のまま関節を締め上げる、ラ・マテマティカ…。

そして真理亜ほどのレベルになれば、人体が壊れるラインも熟知しているのは当然のこと。まさに生かさず殺さずという状態で、気を失うことすら許されないまま、あげはとファラーシャは代わる代わる練習台として嬲られ続ける。

「は………はひ……。ひゅっ…………」

「ゆ…ゆるひ………ぴい゛い゛い゛い゛ッッ!!」

「よーし真理亜! 次はキャメルクラッチとかどうだ? ファラーシャのケツがよく見える感じでひとつ頼むぜー!!」
「私はあげはさんがダブルエックス戦でやった、タランチュラを逆にかけられているところが見たいですわね。蜘蛛の巣に捕らえられた蝶…甘美な響きじゃありませんこと?」
「待て待て、ここはやっぱロシアの伝統、パロスペシャルしかないだろう! いや、真理亜ならOLAPもできるか? できるならぜひお願いするわ!」

真理亜が次の技に悩んだのをきっかけに、いつしか場内はリクエストが殺到する事態へと発展していった。そして真理亜もそれにきっちりと応え、どんな難技だろうと軽々と再現してしまうため、もうすべての観客は早い者勝ちと言わんばかりに我先にとリング前へ詰めかける!

「慌てない、慌てない…。まだ時間は、たっぷりあるんだから」

もはや息も絶え絶えで、糸の切れた人形のようにだらりと四肢を投げ出しながら、無造作に頭を掴まれ引き起こされる2羽の蝶…その身を案ずる者など、この場にはいようはずもない。
このまま不幸な事故が起ころうと、再起不能になろうと、もしくは回復して再び闘うことになろうと…観客にとっては、いずれもおいしい展開には変わりないのだから。

第4試合 ツヴァイシュメッタリン vs The Childish(5/5)


…………………………。


「…ふうっ、ごめんなさいね。全部の要望に応えるわけにはいかなかったけど、ま、これくらいで」

…約1時間後。さすがに疲れが溜まってきたのもあったかもしれないが、それ以上に気力も体力も尽き果てた2人の口から悲鳴が聞こえなくなったことで、真理亜もようやく満足げにロープにもたれかかる。
肩、肘、股間、膝、手首足首、指…およそ考えうる骨と骨との連結部を残さず破壊されたあげはとファラーシャは、お互いの垂れ流した体液で身体中をてからせ、潰れたカエルのような格好でその足元に横たわっていた。
いまだわずかに上下するお尻や胸から、かろうじて息があることは窺えるものの。もう真理亜が踏みつけようと蹴り飛ばそうと、ほとんど反応は示さない。

凄惨ながらもどことなく背徳感すら感じさせるその光景に、さっきまで興奮の渦中にあった場内の雰囲気も、徐々に2人の姿をじっくりと堪能する方向へと向かっていく。今ではそこかしこからわずかなざわめきと、カメラのシャッター音が聞こえるのみとなっていた。
その反応の変化に苦笑いを浮かべつつも、真理亜は仕上げとばかりに腰を上げ、2人をコーナーまで引きずっていく。

「……ぉ…………………」

「……ひゅ…………ぃ………」

「残りのリクエスト分は、この虫けら共の身体を隅々まで観察してもらうってことで、埋め合わせるとしようかしら?」

「「「おおおおおおお―――――!!!!」」」

最後まで観客の期待に応えるその発言に、再び場内は大歓声に包まれた!
そして真理亜はコーナーポストを挟んで、あげはとファラーシャを背中合わせに固定。慣れた手つきでねじ曲がった2人の四肢とロープとを複雑に絡み合わせ、哀れなる蝶の標本を完成させる!
それだけでもうガラス前を埋め尽くす観客達は顔を押し付け、食い入るようにその光景を焼き付けようとしていたが。真理亜の考えていたのは、さらなる辱めだった。

「ああ、運営さん。私が退場した後、ガラスのロックを外したままにしてもらうことはできるのかしら?」

「む? 普通試合後はロック外したまま、スタッフがリング整備に入りますが…ってあーそういうことですか」

「そういうこと。どうせもう試合はないんだし、リング整備は明日でもいいんじゃない?」

「OKですー。ただまあ、ペナルティ的なイベントじゃないので、お触りは厳禁ですよー」

真理亜の意図を察し、空気を読んだ運営発表に場内のボルテージは最高潮に達しようとしていた! もはや席に座っている観客など1人もおらず、もう人の重みでガラスが割れるんじゃと思わんばかりの有様である。

「マジか――――!! 間近で見られるのはすげー嬉しいけど、生殺しじゃねーかちくしょ―――!!」
「でも撮影はいいんだよね!? あげはタソやファラーシャタソのあんなところやこんなところを、接写してもいいんだよね!?」
「スタッフは明日も休みでいいぞー! なぜなら俺がリングを舐め尽くして、綺麗にしてしまうからだ!」
「閃いた! 触っちゃ駄目ならぶっかければいいじゃん!! あのあどけない顔の前でしごけるとか、考えただけで興奮するようひょ―――!!」

相も変わらず変態という名の紳士ばかりである。まあ表の世界ではれっきとしたセレブ、紳士であることには変わりないのでマナーはちゃんと守ってくれるだろう。多分。

真理亜もやれやれといった感じで首を振り、一旦リングを降りようとするが。何かを思い出したかのように引き返してあげはと向かい合うと…そのたわわに実った乳房に爪を立て、思い切り握り潰す!

「……ぁ……ぁぅ………!」

「その身体の奥底に、しっかりと刻み付けなさい…。あなたごときじゃ、何回やっても私には勝てないということをね…!」



ロックが解除され出入口が開くや、モーセばりにぱっかりと人の壁が割れ、真理亜の前には自然と通路が出来上がる。試合内容とパフォーマンスを考えれば、当然のリアクションと言っていいだろう。
そして惜しみなく降り注ぐ称賛に手を振って応えながら、まさに女王の風格を漂わせ、真理亜は悠々とリングを後にするのだった。

「ハラショー真理亜―――!! ハラショ――! ハラショ――!!」
「ハラショォォォ! ハラショォォォ!!」
「オーチンハラショ―――!! オーチンハラショ―――!!」

結果として今回も大人げない強さを見せつけたチャイルディッシュ。幸子が敗れた今、やはり頂上決戦は甲斐姉妹との一騎打ちになるのか、はたまたみこみこか春夏が波乱を起こすのか。
1回戦の突破チームが出揃ったことで、評論家達の予想も一層熱を帯びてくるのだった。

一方、真理亜が退出すると同時に隙間なく男達に囲まれたシュメッタリンの2人は、息のかかる距離から舐め回すような視線と幾多のフラッシュに晒されることとなる。わずかに残された意識が状況を理解してはいるが、全身骨折の上がっちりと磔にされたこの状態。
2人に出来ることはか細い声で呻き声を漏らしつつ、一刻でも早くこの時間が終わることを願うだけだった。

(も……やだ………。あんなところまで、撮られて………)

(……助け………お母……さ………)



39分57秒(+真理亜さんのデモンストレーションタイム55分)
Winner The Childish 3勝0敗 上位トーナメント2回戦進出
Loser ツヴァイシュメッタリン 2勝2敗

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「………ん? 何か忘れてるような…。
まあ、忘れるってことは大したことじゃないわね。気のせいでしょう多分」

そんなわけでひっそりとリングサイドに転落していた春日が気付いた時には、訳も分からず大勢の人に踏みまくられていたりした。
早く思い出してあげてください真理亜さん。

「ぎょむっ、ちょ、痛いですやめて踏まないで! 私が気を失ってる間に何があったんですか一体―――!!」

第3試合 春夏繚乱 vs ギガントヴィエーディマ(1/2)

桜さんsno-image.jpg   ピアーチsチェーニs

春夏繚乱  オーナー:かんいち氏
生天目 桜
身長154cm 体重42kg 3サイズ B81 W53 H84 年齢:17歳
試合コス:ミニスカ和服
彩海 鮮花
身長152cm 体重44kg 3サイズ B84 W56 H86 年齢:16歳
試合コス:チャイナ服

ギガントヴィエーディマ  オーナー:雪猫氏
ピアーチ=スィニエーク
身長222cm 体重 秘密 3サイズ B111(Gカップ) W68 H100 年齢:3歳
試合コス:桃銀色のラバースパッツスク水、その上から桃色のラバーミニスカのワンピース(胸の下半分までの長さ)
“ブラックマジカルプリンセス”チェーニ=タルナーダ
身長137cm 体重25kg 3サイズ B52(AAAカップ) W48 H57 年齢:10歳
試合コス:黒と紫系の背中を開けた魔法少女風衣装



甲斐姉妹が幸子を撃破し、一躍優勝候補に躍り出た第1試合…もちろんその結果自体に、不満を抱く観客はいなかったが。
それは取りも直さず、甲斐姉妹に唯一の土を付けた春夏の実力を証明するものに他ならない。ゆえに、ギガントなら大丈夫だろうとタカをくくって大枚つぎ込んだ人達の中には、今になって内心びくびくしているのも何気に少なくはなかったりする。

「昨日までは8:2か7:3でギガント有利って予想が大半を占めてたけど。ここに来て皆6:4に流れるとか、日和すぎだろレビュー勢よぉー」
「ままままあでも、予選2試合で圧倒的な強さを見せつけたギガントだ! 蓋を開ければ春夏ごとき、簡単に捻り潰すに違いないようん!」
「月子を一撃で沈めたピアーチの破壊力は、今大会No.1と言っていいからな。その上そっちばかりを意識しすぎると、チェーニのトリッキーな動きに翻弄される二段構えだ。
春夏も予選突破がフロックじゃないのは間違いないが、さすがに今回は相手が悪すぎだろう」
「ですわね…ほほ、桁違いのパワーに蹂躙されるか、舐め回されあられもない姿を晒してくれるのか。ギガントは一粒で二度おいしいのがいいところですわ」

またギャンブルを抜きにしても、ミニスカ和服の忍者とチャイナコスのJKがリョナられる姿を見たいというのは、人として自然な欲求だろう。
予選ではお預けを食ったこともあり、場内から春夏を応援する声はまったく聞こえてこない有様だった。

「やれやれ…同じ2連勝同士なのに、ひどいものね。ま、あちらさんに比べて戦い方が地味なのは否定しないけど」

「それだけ私達の方が可愛いってことよ、鮮花。そんな子がやられるのを楽しむのが、この悪趣味な世界なんだから」

「お、言うようになったじゃん、桜。ユキーデを倒して、一皮剥けたかな?」

「倒したのは鮮花でしょ……でもおかげで、敵討ちに囚われてた視野の狭さに気付けたっていうか。…さ、始まるわよ!」

照れ隠しするように鮮花の背中を叩き、リングへと送り出す桜。気負いも気後れもしてないパートナーに安堵した表情を浮かべ、鮮花は身長差70cmのピアーチと視線を合わせる!

「にへへへー。しばらく試合がなかったから、暇でしょーがなくてさー。
久しぶりのオモチャ、たっのしみーーー!!」

相変わらずピアーチの方は遊ぶ気満々というか、目の前の鮮花をどうやって壊すか考えを巡らせ、うずうずしている様子である。
そして待ち切れないと言わんばかりにマットを蹴ったところで、高々と響き渡るゴングの音!

「ヒャッハァーーー!! もう我慢できないーーーっっ!!」

同時に突進しながら右手を振りかぶり、ゴッドプレスばりに鮮花を運送しようとするピアーチ!
しかし視界一杯に広がる相手の巨体を前にしても、鮮花は極めて冷静だった。大きく息を吐くと練り上げた気を身体の外へ放出、お馴染みのバリアーを展開して掴みかかってきたピアーチの右手を弾く!

「うわっっ!?」

さらに腰を沈めて足払いも合わせるや、後先考えずに突っ込んできたピアーチは完全にその力を逸らされる格好になり、大きくバランスを崩す! けんけんをするように転倒をこらえるも、勢いを止めることはできずそのままロープを踏み越えガラスへ激突! 
ぶっちゃけもう少し相手を見ていればというか、気がはやりすぎたがゆえの盛大な自爆である。

「いった――――――!!! 何するのさ、も―――!!!」

しかしかなり派手な音がしたにも関わらず、その一言で済ますあたりはさすがクローンというべきか。
自業自得なのを棚に上げて、額を押さえながら激高しすぐにリングへ舞い戻る! そして今度こそ人形めいたサイズ差の相手を捕らえようと、両手で挟み込むようにネックハンギングを試みるが!

パアンッ!

「!!?」

一瞬早く懐へ潜り込んだ鮮花の前に、力士並の掌はあえなく空気を打ち鳴らすのみとなる。逆に下腹部へカウンター気味に入るのは、鮮花得意のゼロ距離エルボー!

「ぐうっ!? あーもー! 生意気すぎ―――!!!」

思い通りにならない展開に子供めいて癇癪を起こしたピアーチは、ムキになって何が何でも鮮花を片手で捕まえようとする!
要は自分と同じように、ガラスに叩き付けなきゃ気が済まないという我儘だったが…そんなワンパターンな攻撃を見切ることなど、鮮花にとっては容易かった。雲を掴むように自慢の腕力を空回りさせられ、完全に周りが見えなくなってしまったピアーチはここで、ロープに足を引っかけすっ転ぶ再度の自爆!

これには鮮花も驚いた表情を見せたのはもちろんだが。
モニターで観戦していたクローン研究者達も、一様に頭を抱えたのは言うまでもない。

「オイオイオイ!? 何やってんだピアーチ! 一人相撲もいいところじゃねーか!」
「今まではあの精神的な幼さがいい方に作用してたんだが…裏返せばそのまま弱点でもあったか。ちょいと盲点だったわ」
「つーかさっさと代われよもう! ダメすぎるにも程があるだろー!!」

一斉に湧き上がったブーイングを聞くまでもなく、チェーニはおちょくるような笑顔を向けながらピアーチの元に飛来。立ち上がろうとするピアーチの背中を引っぱたいて、試合権を奪う!

「うが――――!! 勝手にタッチすんなこら―――!!」

「こんな失態やらかして、舞台から降ろされないとでもー? もう2人ともボクの獲物にしちゃっていーよね、答えは聞いてない!
ピアにゃんは指をくわえて見てるといーよざまー!」

一気に早口でまくし立て、スリットから覗く鮮花の太ももを狙いダイブするチェーニ! しかし鮮花も、このチャンスに焦って深追いせず、しっかりと迎撃態勢を整えていた。
いきなりのエロ攻撃にも動じることなく、低空から飛び込んでくるチェーニの顔面に膝を合わせカウンター。その後もチェーニは飛行しながら腋や胸へとその長い舌を這わせようとしてくるが、鮮花はバリアと体術を駆使してまともに身体を触らせない!

「こ、こんな展開になるとは、いったい誰が予想したでしょうか!? 派手な一撃こそありませんが、淡々と自分のペースでダメージを積み重ねる鮮花さん!
逆にギガントはチェーニさんの方にも、ピアーチさんの不調が移ってしまいましたか? らしくない凡ミスを繰り返し、ここまでまったくいいところがありません!」

「まあラッキーなのは確かだったが、鮮花も大会当初より確実に力をつけてきてるな。それに後ろを信頼してるからこそ、目の前の相手に集中できるってのが大きいのかもしれん」

「なるほどー。そういえば『気』を出せる持続時間も、予選の時よりだいぶ伸びてますね。
アレは結構身体に浸透するらしいので、タフネスに優れたクローンといえど、このままでは……っとお!?」

「むき――――!! いらいらする―――!! チェーニだってダメダメじゃんこの―――!!!」

大人しくしてるかと思ったピアーチだが、交代しても鮮花のやられるところが見られないとあっては、やっぱりじっとしているのは無理な話だったか。
もとよりパートナー同士の連携など微塵も考えず、各々が自分勝手に動くのがギガントというチーム。鮮花へ組み付こうとしたチェーニが巻き添えになるのも構わず、リングへなだれ込んだピアーチは一直線にチャリオットタックルを敢行する!

「嘘っ!? このタイミングで!?」

しかしこれが功を奏したというか、鮮花も相手がパートナーもろとも吹き飛ばしに来るとは予想外だった。
咄嗟にピアーチの方へバリアを向ける反応速度はさすがだったが、チェーニはそれを見逃さず一瞬で背後に回り、背中を下から上へじゅるりと舐め上げる!

「ひゃあんッッ!!?」

しまったと思ったときにはもう手遅れ。背筋に走った甘い電流とともに、鮮花がこれまで維持してきたピンク色のオーラもあっさりと霧散してしまっていた。
そして丸腰の鮮花の眼前に迫る、巨岩の如きピアーチの肩! 生意気な対戦相手とパートナーを同時に始末できると、思わずほくそ笑んだピアーチだったが…!

ゴガアアッッ!!

「? あれっ?」

会心の当たりと呼ぶには違和感のある感触。顔を上げその原因を理解したピアーチは、さらにストレスを募らせ地団太を踏む!

「ご、ごめん! まさかあの状況で仕掛けてくるなんて…」

「いやいやサンキュー! アレまともに喰らったら終わってたよ!」

そう、桜もただ漫然と鮮花の無双っぷりを眺めていたわけではない。ピアーチのタックルが命中する瞬間、横から押し倒すようにしてカバーに入り、わずかに打点をずらしていたのである。

「ぐっ……!」

とはいえあの質量を鎖骨のあたりで受けたことには変わりなく、明るく振る舞ってみせるも鮮花はすぐに苦しそうな声を上げる。
それを察した桜は気遣うようにタッチ。きっと顔を上げて、射るような視線をピアーチへと向ける。

「忘れないで。春夏繚乱は、鮮花一人のチームじゃない!」

ちなみにチェーニの方も、ちゃっかり鮮花を盾にした隙に離脱しておりノーダメージ。それがますますイライラに拍車をかけ、ノータッチにも関わらずリングを降りようとしないピアーチは、そのまま手当たり次第に暴れ続ける!

第3試合 春夏繚乱 vs ギガントヴィエーディマ(2/2)


「う――が―――!! むーかーつーく――――!!!」

リングに寝転がって手足をじたばたさせるその姿は、さながらおもちゃ屋の前で駄々をこねる子供のごとし。しかし子供であれば可愛いものだが、222cmの巨体でこれをやられては周りの人間もドン引きというか、近付こうにも近づけない。
もとい迂闊に触ろうものなら、すり潰されてミンチになるであろうことは、誰の想像にも難くなかった。

「あーあw こーなったらもうボクにも止められないねー。まーせーぜー頑張ってよお二人さん♪」

けたけたと笑いながらチェーニは上空に避難、一人高みの見物を洒落込もうとする。が、次の瞬間、彼女と同じ高さにまで跳躍してくる人影!

「ふえっ!?」

三角跳びの要領でガラスを蹴ってきた桜である! その身軽さはまさにニンジャそのもの、驚いたチェーニを一瞬のうちに蹴り落とし、ジグザグの軌道を描いてさらに高度を稼ぐ!

「ボクを踏み台にしたぁ!?」

「ルールを守れない悪い子は…!」

お約束の台詞を吐いて落下するチェーニを尻目に、桜は頂点に達したところで眼下を一瞥。目標に狙いを定めると、前方宙返りも加え力を込めて急降下する!

「少しの間、眠っていてもらいます!!」

そして強烈な重力加速度とともに振り下ろされた右脚が、寸分違わずピアーチの喉元へと着弾!

「ぐぶええッッッ!!?」

言うなれば超高高度からのギロチンドロップ! その落差によって生み出される威力は、軽量な桜の非力さを補って余りあるものだった。
文字通りギロチンの刃が落とされたに等しい衝撃を受けたピアーチは、濁った悲鳴と共に大きく目を見開き…そのまま動かなくなる。

「ななな!? ま、まさか、ピアーチまで!?」
「冗談だろ!? そう易々とあのクローンが沈むわけが…おっとキタ━━━(゚∀゚)━━━!!!」

初めて見るピアーチの姿にどよめきの広がった観客席だが、すぐにそれは歓喜の声へと変わる! 墜落しつつも体勢を立て直していたチェーニが、この隙に桜の腕の下から抱きつき、コスの胸元をはだけさせていたのだ!

「きゃっ!? んっ、このっ、離れ…てっ……!」

「さっきはよくもやってくれたねー、これはお返しっ! 天国から戻れなくしてあげちゃうんだから!☆彡」

そして桜を抱えたまま、全身をまさぐりつつ上昇するチェーニ! 控えめにフリルとリボンのついた可愛らしい下着が覗き、顔を赤らめて桜も抵抗するが…そんなウブな反応を嘲笑うように、チェーニの指と舌はさらに奥へと侵入してくる!

「んっ! くふぅッ! ひんッ!?」

「えっへっへー☆ お姉ちゃんの弱点はぁー……ここかな? ここかな? それともこっち?」

「やっ、やめっ、舐めなっ、はふぅぅぅ……ッッ!!」

「よっしゃ―――!! 待ちかねたぜ、ようやく変態ょぅι゛ょの土俵に持ち込んだか!」
「もー、チェーニたんてば焦らしすぎでござるよー。でもタメが長かった分、恥じらう桜タソのリアクションがより映える…エンターティナーだね!」
「所詮桜も対魔忍同様、女の弱点を責められてはなす術もないか。くっくっくっ、古今ニンジャというものは変わらぬのう」

どうにかしてチェーニを振り払おうともがくものの、地に足のつかない空中で飛行できるチェーニに渡り合えるはずもない。されるがままに秘所をまさぐられ、嬌声をあげるたびに観客席のボルテージも上がっていく!

「桜っ!」

「知ってるー? 飛んだままイクのって、すごく気持ちいーんだよ。お姉ちゃんも、すぐ病みつきに…」

「生憎、ですがっ…! そんないやらしいことに流されるような、弱い意志は持ち合わせてませんッ…!!」

普通ならフラグ立ちまくりの台詞ではあるが…チェーニも鳥頭というか、さっき見たばかりのことを学習しなかったのが明暗を分けた。
そう、長年忍者の修業を積んできた桜にとって、空中での姿勢制御はお手のもの。確かに飛ぶことこそできず、未体験の快楽に翻弄されかけはしたが。
鮮花の呼びかけによって自分を取り戻した今、羞恥心に耐え不利な状況ながらも体勢を入れ替えていく!

「ふあっ!? なにこれなにこれー!?」

チェーニの身体を反転させ、左手で相手の右太もも裏を押さえつけるや、自分の右膝を跳ね上げ相手の右膝との間でその小さな頭を挟み込むようにロック! さらに右手はチェーニの左足首を掴み、股を開かせるように捻じ曲げる!
一見変形のキン肉バスターのようにも見えるが、桜に対しチェーニの身体が横向きであり、何より頭部を二人の膝で固定している点が異なるか。

もうお楽しみタイムだと思い込み、ぺろぺろするのに夢中になっていたチェーニが気付いた時には、すっかり身動きなど取れなくなってしまっていた。
まともに入れば命すら奪いかねない危険な技だが、桜は瞼を閉じて一旦静止した後…決意を込めた目を開いて、お尻から一直線にリングへと落下!

「奥義……釣鐘割り!!」

ガゴオォォンン!!!

そして着地の衝撃が加わり、二つの膝にがっちりと挟まれた頭蓋は、亀裂が入ってもおかしくない程のダメージを受ける!

「ゲエ――――!! 桜のヤツ、こんなえげつない技も使えたのか!?」
「誰だよ春夏は決定力不足なんて言ってた奴は? 3期とはまったくの別人じゃねーか!」
「パワーこそないが、スピードと巧みな体捌きで急所を狙い、一撃で仕留めてくる…忍者としては完璧な戦い方だなオイ」
「し、しかし…まさか、ギガントが……?」

「あばば……ばば……」

いかに頑強なクローンといえど、これはさすがに耐えられる限界を遥かに超えていた。両脚を別々の方向に曲げられ、わずかに動く上半身を痙攣させるチェーニに、もはや悪戯好きなエロ小悪魔としての面影はない。
桜が腕を放して解放すると、大量の唾液が糸を引きながら、その小さな肢体は力なくマットへと投げ出される。
相手の見た目が見た目だけに、桜もやや申し訳なさそうな表情を浮かべるが…手加減しようものなら自分がやられていたことは明らか。これが人間なら後遺症も免れなかったかもしれないが、クローンゆえぎりぎり失神しただけで済んだのは幸運だったか。

静まり返る場内の中、桜は乱れたコスを直し、鮮花の元へ向かおうとする。しかし!

「桜! 後ろっ!!」

「うがあああぁぁ――――っっ!!!!」

しばしの間リングの一角で仰向けになったままのピアーチだったが、まだ完全に意識を失ってはいなかった! やにわに立ち上げって桜へと襲いかかる、驚くべきはクローンの回復力!
さらに積み上げられたダメージの影響か、もともと不安定だった精神が振り切れたのか。いつもの無邪気な態度は影を潜め、今のピアーチはただ本能のまま、目につくものすべてを破壊する怪物へと成り果ててしまっていた。発狂したかの如く発せられる咆哮がガラスを震わせ、最前列の観客は恐怖におののき失禁する!

「…っ! まだ、抵抗するのならっ…!」

言わば規格外の体躯とパワーを持った猛獣と同じ檻に入れられているかのようなこの状況、並の闘士であれば足がすくんでしまってもおかしくはない。
だが、ユキーデに真っ向から立ち向かいメンタル面を克服した今の桜は、こんなことでは動じなかった!

「今度は本気で、落とさせてもらいます!!」

キャンパスを砕かんばかりに荒れ狂うピアーチの両腕を紙一重でかわし、相手が前かがみになった瞬間、電光石火のサマーソルトシェル! 綺麗にカウンターで入ったカカトが、大きく顎を跳ね上げピアーチの巨体をのけ反らせる! 
さらにそのまま空中で身体を捻り、横薙ぎにもう一発回し蹴りも追加!
一瞬にして上下左右に脳を揺さぶられては、どれだけ肉体が打たれ強くても脳震盪は不可避。それはクローンとて例外ではなく、天を仰いだままピアーチの両膝がマットに落ち…。

ズウゥ………ゥゥン

一呼吸置いて、頭から突っ伏すような形で上体も倒れ込んだ。

「ふうっ……」

軽快に着地した桜は、なおも集中を緩めずピアーチの様子を注視するが…完璧に入ったこの連撃はまさに必殺。鋭利なカミソリのごとく、脳と神経の接続をスッパリと切断してしまっていた。
さっきまでの暴れっぷりが嘘のように、ピアーチはもはやマットに沈んだままピクリとも動かない。そんな相手と笑顔を浮かべ駆け寄ってくる鮮花を見て、ようやく桜も肩の力を抜き、穏やかに微笑んでハイタッチを交わす!

「ジャ、ジャイアントキリング3連発――――!! 甲斐姉妹、ビッグボンバーズに続き、何と何とギガントヴィエーディマまで下しました春夏繚乱!!」

「バカな―――!! 賭け3連敗だよ俺はどうしてくれる―――!!」
「思えば初戦から覚醒の兆候はあったわけか…。ふふ、すっかりやられてしまったよ。私の目もまだまだだな桜君…」
「やばい、春夏まじやばい。もう疑う余地なんてまったくない強チームじゃん…節穴すぎんだろレビュワー共めぇー!」
「つーか、これマジで優勝も視野に入ってきた…?」
「次の相手がシュメッタリンかチャイルディッシュか分からんが、その結果次第では本気であり得るな…。何しろ甲斐姉妹には勝ってるわけだし」

「場内騒然、座布団が乱れ飛びます! 今大会、完全に台風の目!! 一体どこまで、この快進撃は続くのか―――!?
座布団を投げないでください! 座布団を投げないでください―――!!!」



…………。

なお試合中は強い意志力で抑えつけていたが、チェーニに敏感な部分を刺激されまくってた桜はしばらく火照りが収まることはなく。
鮮花には黙って早々に部屋に閉じこもり、1人たどたどしい手つきで慰めていたのは内緒の話。



21分12秒
Winner 春夏繚乱 3勝0敗 上位トーナメント2回戦進出
Loser ギガントヴィエーディマ 2勝1敗

第2試合 ブラックベリー vs みこみこウォリアーズ(1/2)

ランsティアs   月子さんs貴音さんs

ブラックベリー  オーナー:武蔵氏
ラン
身長159cm 体重50kg 3サイズ B84 W56 H79 年齢:15歳
試合コス:ブラックベリーで採用されている全身をぴっちりと覆う漆黒のバトルスーツ
ティア
身長157cm 体重49kg 3サイズ B80 W55 H77 年齢:15歳
試合コス:ブラックベリーで採用されている全身をぴっちりと覆う漆黒のバトルスーツ

みこみこウォリアーズ  オーナー:sakifox氏
御山 月子
身長151cm 体重51kg 3サイズ B77 W60 H80 年齢:15歳
試合コス:白地の上着に小豆色の袴。袴の形状はキュロット型
藤宮 貴音
身長164cm 体重68kg 3サイズ B80 W69 H88 年齢:17歳
試合コス:月子と同じ巫女服。ただし月子より袴は上の位置で留め、襟の合わせ目も中心寄りか



「…つっきー、見てるだけで胸焼けしそうなんだけどコレ。」

空になった財布と「それ」を交互に見比べながら、貴音がげんなりした表情を浮かべたのも無理はない。彼女の目の前のテーブルには、山と積まれたシュークリーム。
ぶっちゃけうず高く積まれすぎて、対面に座っている月子の顔は見えないほどである。

「そうですか。私は今からこれにかぶりつけると思っただけで、胸の高鳴りが抑えきれませんが。
ああ、心配しなくても貴女には分けてあげませんので、私の食べる姿だけで胸焼けなさってください」

いつになく饒舌な月子に貴音もやや戸惑った様子を見せるが、これも好物を前にしたテンションゆえか。前髪に隠れたその瞳は、しいたけのようにキラキラと輝いているに違いなかった。

「…まあ、これでチャラにしてくれるんなら構わないけどさ。次はあの甲斐姉妹なんだから、太って動けなくなったりはしないようになー」

「甘いものは別腹です。貴女こそ、今回みたいなコンディションは御免ですよ」

「うぐっ…悪かったってば。今度はちゃんと仕事するから…」

「大体ですね、後先考えない頭悪いカウンターが貴女の持ち味なのに、それを放棄したらいったい何が残るんです? そんなんじゃこの地下では…」

そして始まる月子さんの説教タイム。貴音も余計なこと言ったと後悔するがもう遅い。
なおその間にもシュークリームはすごい勢いで減っていっており、まあ無くなるまではと観念する貴音だったが…。

「すみません、50個追加で。
代金は貴音さんへツケでお願いします」

(…くそぅ、自覚なしに相手を疲弊させるのはプライベートでも変わらないのかつっきー。
そういうのは闘ってる時だけにしてほしかった…)



―――話は、前日の試合へと遡る!

「これは意外な展開――!! 貴音さんとランさん、タイプの違うカウンター使いである両者のハイレベルな攻防が期待されたこのカードでしたが!
蓋を開けてみればティアさんとの絶妙な連携もあり、まともにジョルトを打たせませんでしたブラックベリー! リーチに勝るジャブで動きを止められたところを締め落とされ、残るは月子さん1人! 
みこみこウォリアーズ、この状況はさすがに絶望的と言っていいでしょう!」

「まったくとんだ塩試合だよ! てっきりダブルクロスカウンターとかブラッディクロスとか、見られると思って来たのにさー!!」
「まあしょっぱく見えるのも、それだけブラックベリーが貴音を研究してきてたってことだ。実力を出させずに勝負をつけるのも、また実力のうちよ」
「しかしブラックベリーとしちゃ、理想的な展開だったなー。序盤の月子との削り合いも、カウンターを駆使して優位に進めたのが大きかったか」
「加えてやっぱりみこみこは急造タッグ、うまく再交代のタイミングが計れなかったね。これはブラックベリーのカットが巧みだったのもあるけど…さて」

実況も場内の観客達の間にも、もはや勝負は決したと言わんばかりの空気が広まっていた。まあいくら鉄壁の防御を誇るとはいえ、攻撃力に乏しい月子1人では、勝ち目などないと考えるのも当然と言えよう。
ブラックベリーの2人もそれを見越して貴音を徹底的にマークしてたわけであり、まだ集中は保ちながらも、促すような口調でランが話しかける。

「…これ以上の試合続行は無意味です。ギブアップするなら受け入れますよ?」

「ふむ。それは悪くない提案ですけど…」

あまりその場の感情には左右されず、論理的な思考ができるのが月子。実際3期までの上位トーナメントなら、負けることによるペナルティは優勝の目が断たれるのみであり、ギブアップも一考の余地はあったかもしれない。しかし…。

「折角ですが遠慮しときます。それやったら、多分下位トーナメント落ちは確実ですしね」

「…確かに。では申し訳ないですが、あなたも全力で仕留めさせてもらいます!」

抽選会で告知されたこの特殊ルール。上位であっても試合を捨てる選択は禁じられたに等しく、観客は完全に決着がつくまで楽しむことができる。運営の思惑通りなのを癪に思いつつも、月子は大きく息を吐き、ランを迎え撃つべく構え直す!

かくして試合再開! もちろん観客の興味はすでに、ブラックベリーがいかにして月子の防御を崩すかという1点のみに移っている。孤軍奮闘する彼女へそのスタイルを揶揄する声が浴びせかけられるのも、酷ではあるが自然な流れではあった。

「ここからお前1人で何ができるってんだー? わざわざリョナられる方を選ぶとか、Mなんじゃねーのか月子ぉー!!」
「はははっ、でもギブアップなんて興醒めだからね、そこは褒めてあげるよ!」
「せいぜい無駄なあがきをして、儂等を楽しませるがいい! 何分持つか、賭けでもしようかのう!」

(…巴子さんなら、どう判断してたんでしょうね。っと、そんなことを考えてる場合じゃありませんか。
まあ、まだ私も相手も、全力を出し切ってはいないことですし。やるだけのことはやってみましょう)

ランもシステマということであまり自分から仕掛けるタイプではないのだが、2対1という利を生かすには積極的にプレッシャーをかけ続けるのが上策。持ち前の正確な打撃でガードの隙間を狙い、着実に月子を追い込もうとする。
後はこまめに交代して月子の体力が尽きるのを待つか、集中力が途切れた瞬間に痛打を叩き込むだけの簡単なお仕事。観客はもとより経験豊富なランとティアですら、勝負が決するのは時間の問題だと思っていた。


…しかし、それから20分が経過!

「粘ります月子さん! さすがは防御のスペシャリスト、そう易々と攻略できないのは分かっていましたが…いつも以上の難攻不落っぷり! 何とあれから、クリーンヒットを1発も許さず!
体力的には優位なはずのブラックベリーの方が、ここへ来て疲労の色を浮かべています!」

「…今まではこの雰囲気の中、集中力を維持しきれずワンチャンで落とされることも多かったイメージだが。今日は初めて先に相方が落ちたことで、何つーかいい意味で吹っ切れたな。
肩の力も抜けて自然体で渡り合ってやがる…多分周りの野次も耳に入ってねーぞコレ」

「序盤は軽めの掌打にもカウンターを合わされ、ランさんとは相性悪いかなーと思ってたんですが。長引くにつれランさんの被弾も増えてきましたね?」

「何だかんだで月子の打撃は、威力はないが隙も小さいからな。タイミングを学習して、うまく外すようになってきやがった。
…そろそろブラックベリーは、考えを改めないとまずいかもだぜ?」

ヴォイドさんに言われるまでもなく、冷静なランはすでに楽勝ムードから頭を切り替えていた。楽観的なティアの方も、思わぬ展開に渋い表情を隠そうとしない。

「データ以上のディフェンススキルね…まさか、ここまでとは」

「どーすんだラン? あたしの関節技も、全部ブロックされちまう…崩す糸口が見つからないんだが」

「大人げないと思ってたけど、もうそんなことを言っている場合じゃないわ。ティア、合わせて!」

「合点!!」

「個々の攻撃では、埒があかないと判断しましたか! ここでブラックベリー、2人同時に月子さんへと仕掛けます!
正面からランさんがジャブとストレートで注意を引きつけ、側面に回り込んだティアさんがガード中の腕を極めようとするコンビネーション!
しかし月子さん、これも肘で弾き返す!!」

「くっ!」

「まだよ! ティア、ここで休んじゃ駄目!」

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お知らせ

トーナメント本戦 組み合わせ表

トーナメント表1

トーナメント表2

トーナメント1回戦 対戦カード

☆第1試合 
甲斐姉妹vs
カワイイ幸子と愉快な仲間

☆第2試合
ブラックベリーvs
みこみこウォリアーズ

☆第3試合
春夏繚乱vs
ギガントヴィエーディマ

☆第4試合
ツヴァイシュメッタリンvs
The Childish

☆第5試合
ランページ・ヴィーナスvs
蒼黒の第五元素

☆第6試合
忍拳潮流vs退魔コンビ

☆第7試合
ちっぱいメイドズvs
ビッグ・ボンバーズ

☆第8試合
ダブルエックスvs???

参加タッグ一覧

タッグ01 タッグ02 タッグ03 タッグ03-c タッグ04 タッグ04b タッグ06 タッグ07 タッグ08 タッグ09 タッグ10 タッグ10b タッグ10c タッグ13 タッグ14

3期参加闘士一覧

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